合同会社(llc)は、法人としての組織で事業を始めたいが、株式会社だとお金も掛かるし、手続きなども面倒臭そうだから、とりあえず小さく始められる合同会社からスタートしよう!という方が多いこともあり、中小企業の会社というイメージがあるかもしれません。

確かに合同会社には中小企業が多いのは事実ですが(もっとも、日本にあるほとんどの企業(99%以上)が中小企業であると言われていますが・・・)、中には誰もが知っている超有名企業が実は合同会社であったりします。

例えば、日本を代表する航空会社の全日空(ANA)は、航空事業だけではなく、グループ会社で不動産業や人材派遣業、ホテル業なども営んでいますが、その中のホテル部門の会社で「IHG・ANA・ホテルズグループジャパン合同会社」があります。

この会社は、ANAとインターコンチネンタルホテルズ グループとのジョイトベンチャーとして誕生した会社ですが、資本金は8億3,000万円という非常に規模の大きな会社です。

これだけの会社が敢えて合同会社という会社形態を選択したのには訳がある筈です。
理由として以下の事が考えられます。

資本金が5億円以上ある株式会社は大会社と呼ばれ、「監査役」、「監査役会」、「三委員会」のいずれか+「会計監査人」を必ず設置しなければならないと法律で決められています。

しかし、合同会社であれば資本金が5億円を超えていても(例え1,000億円であったとしても) 、その様な制約は無く、機関設計は自由に決められます。

また、会社の重要事項を決定する場合でも、LLCであれば、株主総会や取締役会を開催しなければいけないという決まりは無いので、柔軟に出来ます。

このように、機関設計と運営方法の柔軟性において、株式会社よりも合同会社の方が上ですので、今後はこの特質を生かして、規模の大きな会社でも敢えて合同会社という会社組織を選択するケースが増えていくものと思われます。

事実、日本よりも合同会社(llc)の歴史がある欧米では、課税制度の違いはあるものの、多くの規模の大きな会社が 合同会社(llc)を選択しています。

合同会社は、今後が本当に楽しみな会社です。