有限会社(特例有限会社)から合同会社への変更(移行)を検討するにあたっては、両社の違いについて考える必要があります。

合同会社、有限会社共に株式会社と違い、多数の人から資金を集めて毎事業年度決算公告をして、財務状況をオープンにするというタイプの会社ではなく、基本的には仲間内(身内)だけで経営を行い、決算公告が不要で、運営の自由度が高いという点で共通しています。(株式会社でも閉鎖会社であれば同族経営と言えます)

主な違いとしては、下記の3点が挙げられます。

  有限会社(特例有限会社) 合同会社
最低限必要な機関 株主総会、取締役 無し(自由)
利益が出た場合の配当 原則持ち株数による(但し、定款で利益配当に関する別段の定めのある種類株式の発行が可能) 任意(定款で定める)
吸収合併・吸収分割の際の存続会社 不可。合併・分割の際には消滅会社となる 可能

この3点の違いが、運営していくうえでプラスとなるのかマイナスになるのかをよく検討したうえで、最後に合同会社と有限会社という会社名が与える印象についても考慮する必要があります。

合同会社という名称からは、新しい会社とか、新しい組織形態を積極的に採り入れる前向きな会社と捉えれる可能性がある反面、まだ出来てからそれ程時間が経っていないので、認知度が低いという弱点があります。

反対に有限会社という名称からは、昔からあるので長く経営をしている会社と良く採られる可能性がある反面、新しい制度に対応出来ない、古い体質の会社という見方をされる可能性もあります。

この会社の種類に対するイメージは、取引先を開拓したり、人を採用したりする場合にも少なからず影響しますが、受け取り方は、業種や地域、相手の年齢や環境等によっても様々ですので、何に一番重点を置くかということを考えて総合的に判断しましょう。

有限会社から合同会社への変更手順

  1. 社名を新たに変更する場合には、法務局での商号と目的の調査
  2. (従来の類似商号規制が撤廃されても、不正競争防止法等の関係から、この過程は必要です)
  3. 定款変更(内容の変更は別途費用が掛かりませんので、この際、新しい内容を盛り込みましょう)
  4. 商号変更による合同会社への移行による有限会社解散登記申請
  5. 商号変更による合同会社への移行による合同会社設立登記申請

以上の4つのステップで有限会社を合同会社へ変更することが出来ます。

新しい合同会社の登記事項証明書(登記簿謄本)には元の有限会社から移行した旨の記載がされますので、会社設立日は、有限会社を設立した日で変更はありません。

従いまして、登記簿を見れば、昔から営業をしていた会社であることはすぐに分かります。

なお、許認可等は会社名変更届けをするだけで済みます。

また、その他の手続きとして、税務署への変更届、名刺や看板、ゴム印やハンコ等の変更があります。

当事務所では、有限会社から合同会社への変更(移行)おまかせサービスをご用意しておりますので、宜しければご検討ください。