合同会社(LLC)以外で、ビジネスで使える主な組織としては、次の6つがあります。
1.個人事業主
2.合名会社
3.合資会社
4.株式会社
5.LLP(有限責任事業組合)
6.NPO(Non Profit Organization)法人
1.の個人事業主は、最も手軽に始められますが、一般的には信用力が低いということと、一定以上の利益が出てくると税率が高くなるというデメリットがあります。
5.の特徴はQ2で解説しましたので、割愛します。
6.は、よく非営利組織だから収益事業は出来ないと誤解されますが、収益を上げることは出来ます。
ただそこで出た利益を構成員(役員・社員)に分配することが出来ず、本来の事業である特定非営利活動の事業のために使用しなければならないという制約があります。
また、社員(総会で表決権を持つ会員のこと)が10名以上必要というような条件があったり、設立までに時間が掛かるという難しさはありますが、手続きに手数料がかからないなど一定の条件を満たせばメリットのある形態です。
それでは、株式会社、合名会社、合資会社はどうでしょうか?
まず、合名会社と合資会社ですが、率直に申し上げてこの2つはお勧めはいたしません。
なぜなら、合名会社は出資者(社員)全員が無限責任社員で構成されている会社であり、合資会社は無限責任社員と有限責任社員で構成されている会社で、どちらの会社も無限責任社員を含み、会社の債務に対して出資額とは関係なく責任を負わなければならないという大きなリスクを伴うからです。
これに対して、合同会社(LLC)と株式会社は有限責任社員のみで構成されており、基本的に出資額の限度で責任を負えばそれ以上の責任は追及されません。
(合名会社と合資会社の出資の目的は信用・労務でも可能ですが、合同会社と株式会社の出資の目的は金銭等(現物出資可)に限定されています)
●合名会社・合資会社・合同会社・株式会社の比較
合名会社 | 合資会社 | 合同会社 | 株式会社 | |
出資者の責任 | 無限責任 |
無限責任 有限責任 |
有限責任 | 有限責任 |
出資の目的 |
信用 労務も可 |
信用 労務も可 |
金銭等(現物出資可)のみ | 金銭等(現物出資可)のみ |
機関(組織)設計 | 自由 | 自由 | 自由 | 法律による |
利益配分 | 自由 | 自由 | 自由 | 出資比率による |
決算公告 | 不要 | 不要 | 不要 | 必要 |
では、合同会社と株式会社の違いは何かといいますと、内部自治の度合いです。
つまり、株式会社は新会社法により機関設計等の自由度が増したとは言え、合同会社に比べると法律による制約を受ける場面が多くあります。
例えば、株式会社では、利益配分は出資額に応じてしか配当することが出来ませんが、合同会社では出資額に関係なく自由に配分割合を決めることができます。
合同会社と株式会社のどちらの会社形態を選択するかという問題は、結局のところ内部自治の度合いと会社の信用面をどのように考えるかによります。
信用面に関しては、資本金の規制が撤廃され、株式会社も資本金を一円でも設立できるようになったものの、株式会社は決算毎に財務状況を公告しなければならないということもあり、一般的に株式会社はしっかりとした会社というイメージがあり、合同会社は知名度がないために、特殊な会社で信用面では劣るという捉え方をされる場合が多いです。
しかし、これも考え方次第で、小規模な組織であることを逆手にとって、会社としてというよりも社長個人のパーソナリティーを全面に出して、それを会社の信用に繋げるなどマイナス面をプラスに変える方法は考えれば出てくるものです。
結局、どの会社形態が最適かは、社長ご自身のビジョン、事業環境、取引先などにより違ってきますが、最終的には何を一番重視するかによります。